他の席がうるさいと感じる

その「店」で宴会をしているのは自分たちだけではありません。「貸し切り」にしたのであればまだしも、そういうわけではなく、他の客がいるということは当たり前のことなのです。

そして、そのほかの客も自分たちと同じように楽しくお酒を飲んでいるということです。自分たちが居酒屋でなにがしたいのか、自分たちがどのような宴会がしたいのか、そのようなことは他の客は知っているわけではないのです。会社ではできない大切なハナシを、お酒を飲みながらじっくり詰めたいのか、それともとにかく無礼講で、楽しくお酒が飲めたらいいのか、そのような目的はお店の人も、他の客も知らないのです。

静かにハナシをしたいのであれば、最初からそのような店を選んで入るべきです。「店選び」というのは、その後の宴会を左右する大切な要素でもあるのです。店を選ぶということは、その宴会をどのようなカタチで進めるのかということをなかば「決める」行為でもあります。社会人の嗜みとして、「どのような店を選んだらいいのか」ということを考えるのは大切なことです。企業などで若手が幹事をする場合、学生の頃に使っていたような大衆居酒屋に会社の上司や先輩を連れて行くわけにもいきませんし、かといって予算を度外視したような店選びも的外れなときがあります。

「店を知っている」ということ、それも「大人」ということです。TPOに合わせて、「上司と呑むのであればココがいい」という目星がある程度つけられるようになっていれば、店を選び間違えるようなことはないはずなのです。そして、そのようにしっかりとした店選びをしていれば、「他の客がうるさい」ということもあらかじめ回避できるということです。

店の構造的に「他の席」の声が聴こえなくなるということが期待できることもあります。それが居酒屋でよくある「完全個室」ということです。完全個室の店であれば、他の席での喧騒はある程度聞こえなくすることができるでしょう。対してフロアがぶち抜きになっていて、すべての席が同じ部屋になっていて、遮るものがないということであれば、それは「他の席の会話も、こちらの会話も、筒抜けになっても仕方がない」ということになるのです。

「他の席がうるさい」とイライラするのは、お門違いだということです。他の席がどうであっても関係ないのです。そして自分たちがどうであっても他の席には関係ないのです。大切なことは「TPOに合わせた店選び」であるということ、「どのような店にすればいいか」ということがわかる必要があるということなのです。

うまく立ちまわっていれば、上手な店選びをしていれば、他の席がうるさくてみんながイライラするなどということは起こりません。そのようなこと起きてしまうということは、店選びに失敗したということです。ですから、その場合はそのうるさい「他の席の客」を責めるのではなく、「その店を選んだ人」を責めるべきなのです。